ただひたすらシンプルに凄いゲームを目の前にすると、何が良いとか語彙力を失ってしまいます。それを感じさせてくれたのがこの「Grimvalor」

　剣を装備して戦うダークファンタジーな横スクロール型アクションなのですが、とにかく操作性が素晴らしく気持ちよく移動や連続攻撃ができ、ボスには苦戦しながらもトライ＆エラーで戦うモチベーションを上げてくれ、マップの探索やアイテム集めも楽しいという完成されたゲームです。

　ゲームの基本の仕組みは至ってシンプル。画面左側に左右移動ボタンがあって、右側に攻撃とジャンプ、ダッシュボタンがあります。

　まず滑らかな動きなのも凄いのですが、これだけの少ないボタンで様々なアクションができるのが素晴らしい。ダッシュボタンは通常移動時の走るだけでなく、敵の攻撃に合わせてタップすると避け動作ができます。

　ジャンプも二段ジャンプにさらにダッシュを合わせれば空中ダッシュも可能。さらにジャンプして壁に当たればそのまま壁上りも可能。

　これらの動作が頭で考えずに直感的に行うことができます。

　さらに快適なのが攻撃。タップで攻撃なのですが、さらにそこからのコンボ。連続タップでもいいのですが、なんと長押しでひたすら連続で攻撃し続けるのです。

　これにより、とにかく敵の隙を付いて攻撃を当て始められれば、そこからタップミスなく確実に最大限の攻撃を叩き込み続けることができます。

　さらに物語を進めていくと、攻撃ボタンを横スライドで強力な攻撃、下スライドで地面を這う範囲攻撃、上スライドで空中浮かせなど様々な攻撃もできるようになります。

　横スライドと下スライド攻撃は単なる攻撃方法としてだけでなく、怪しい壁や地面に対して行えば破壊して先に進めるようになるなど、隠し要素を楽しむためにも使えます。

　と、ここまでは基本の動きであり、それ非常に快適というだけです。もちろんそれだけでも他のゲームの追随を許さない素晴らしいクオリティなのですが、このゲームはただそれだけにとどまりません。

　まず、マップデザインが良い。

　マップは適度に区切られているのですが、このサイズ感と構造、分岐などが非常に良いです。

　序盤こそ一方通行ですが、マップはどんどん立体的になり上下に分岐したり、中には強攻撃を使って道を開かないと行けないような場所も多数存在します。

　後半は超複雑、というほどではないけどしっかり覚えてプレイするのに丁度いいくらいの複雑さで、ビジュアルも凝っていて探索するのが楽しいです。

　また体力回復兼セーブポイントは多めで、死んでもすぐにやりなおせます。ボス戦の前にはかならずセーブポイントを置いてくれているので、万全の状態でボスに挑むことができます。

　そして個人的に最も凄かったのが敵の強さのバランス。特にボス戦です。

　途中からかなり強くなってきて、トライ＆エラーが必須となってくるのですが、このボスの動きや強さが決して理不尽ではなく、プレイヤー側としてはちゃんと勝ち筋が見えるんだけど、対処が追いつかずにやられてしまうとか、少しコンボを欲張りしたためにカウンターでやられてしまう、といった様に頑張れば勝てる様に感じられる動きのパターンや強度なのです。

　実際に見えた勝ち筋通りに落ち着いて時間をかけてやれば勝てる内容になっており、死んでもすぐに横のセーブポイントから始められるため、何度も挑戦してしまいます。

　終始、探索が楽しくザコ敵のバランスも良く、ボス戦に入ると絶妙な緊張感という理想的なアクションゲームを見事に体現しています。

　唯一残念なのは英語のみというところ。ストーリーはちょろっとしたものなので読めなくてもゲームとしては楽しめるのですが、やはり気にならないと言えば嘘になると思います。

　スマホゲームではタップ操作のためコンシューマーゲームを遊ぶ人にほどアクションは敬遠されがちですが、このゲームなら絶対におすすめできますし、満足してくれるはずです。