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ゲーム専用機と同じ舞台に立ったスマホゲームは改めて挑戦の段階へ。スマホメディアから見た「東京ゲームショウ 2018」レポート
2018/09/20 21:17
2018年9月20日(木)本日より東京ゲームショウ 2018が開幕しました。スマホメディアであるミートアイならではの視点で現地レポートをお送りします。
というわけで、今年も各ブースの細かい紹介より先にまず全体として、スマホアプリゲームが東京ゲームショウという日本最大のゲーム展示会、ひいてはゲーム業界でどのように動いているかを見ていきたいと思います。
昨年、私が持った感想はゲームショウに於いてスマホゲームとコンソールゲームの垣根が消えたというものでした。(※昨年のレポートを是非参照してください)
では、今年はどうなったかというと、スマホゲームとしては再スタートを切ったという印象です。
スマホとコンソールゲームに意識の格差がなくなってきた結果、ゲームの本質を問われる時代になりました。ただしそれは単にリッチであればいいかというとそうではなく(ゲームショウという華やかな場ではリッチな方が印象が高いのも否めませんが)、ちゃんとゲーム体験としてゲームショウという場に合っているもの、合わせたいもの、そこで紹介すべきものが各会社やゲーム毎に考えられて出てきています。
その結果起こっているのが、大手ゲームメーカー内での二極化と海外系アプリの勃興です。
後者は実際にアプリ業界ですでに起こっていることですが、「アズールレーン」や「ドールズフロントライン」といった海外デベロッパーによるハイクオリティアプリの日本での人気の急上昇があります。「ドールズフロントライン」単体で中規模ブースを展示し、様々な体験企画を行っていました。
一昔前のただ展示しているだけの海外系アプリとはこのゲームショウという場においても一味違いしっかりとしており、ちゃんと力を入れていることがわかります。
他にも「アビス・ホライズン」や「神無月」をリリースするMORNINGTECや6wavesなど中国系デベロッパー、しかもアプリオンリーでの出展は増えており、なおかつクオリティも高いものとなっています。
一方で国内大手ゲームメーカーはというと、一言でいうとアプリは全体で言えば数は少し縮小気味、といったところでしょうか。
これはメーカーとしてアプリを軽視しているのではなく、ゲームショウという場において必要なものをしっかり見極めて出す、といったノウハウが蓄積された結果でもあります。
その証拠に、スマホゲームだからこそ人気を得られるタイトルや、スマホゲームでもコンソールゲームに負けないクオリティのものはしっかりと押し出しています。
例えばKONAMIは最初のステージで最新のモバイル版「ウイニングイレブン 2019」を大々的に紹介。Unreal Engineによる超ハイクオリティなグラフィック、オンラインで最新の選手データがすべて反映されるという超ハイスペックぶりです。ラブプラス Everyも発売延期が発表されたにも関わらず大盛況でした。
コンソールゲームに劣らないウイイレ最新作
セガもブース全体の顔こそ大型コンソールタイトルですが、「龍が如く ONLINE」や「Dx2 真・女神転生」の最新情報はしっかりとステージで展開しています。
こういった大型タイトルアプリはコンソールゲームに遜色ない展開をしますが、逆にゲームショウで出す必要のないアプリは姿を見なくなり取捨選択がされた印象を受けます。
ここまではいわば老舗大手企業と直近で入ってきた海外企業の情勢です。では日本の中堅アプリ企業はどうなったかというと、盛り返して来ています。ここが今年の大きな特徴といえそうです。
昨年までの流れでゲームショウにおけるアプリという存在はバブルが起きてハジケてを経験しました。そして今年はその結果着実に実力があり、ゲームショウでも見るべき価値の有るオリジナルアプリが増えてきました。
例えばサイバーエージェントはオリジナルにしてクオリティも高いアプリ2を全面に押し出してきました。KLabはライブライブの新アプリや既存タイトルでも人気のアプリでしっかりと注目を集めています。
上「Links Rings」下が「Kick・Flight」いずれも4vs4のユーザー対戦型3Dアクションゲーム。上が陣取りモノで下が対戦モノという感じ。いずれもクオリティは相当高い。
アプリはまだ珍しいから、新しいからゲームショウにとりあえず出すことが目標、という時代は終わり、むしろアプリでも見ごたえのあるアプリでないと出す意味がない時代となったおかげで、東京ゲームショウに出ているアプリはいずれも価値が高いものになったと感じます。
昨年まで、ゲームショウに出ている中でアプリとなると正直当たり外れがあることがありました。しかし今年はどれもハズレ無し、単純にアプリ業界全体のクオリティが上がっているのももちろんですが、コンソールゲームと比較してあくまで違うのはデバイスや操作感によるものであって、ゲーム体験としての満足度は高いものばかりです。
そういう意味で今年は改めてアプリ業界のゲームショウは始まったのではないかと思います。
少し別の世界「インディーゲーム」
そしてもう一つ、今年のゲームショウ、特にアプリに於いて欠かしてはいけないのがインディーゲームについて。
インディーゲームは個人や団体、小企業ベースということもあり、大企業ほど動きは早くなくまとまりもありません。個人が参入や変革する時期はバラつきがあり、広く浅く動くといった感じになります。
しかし、今年はそういう全体のなかでも明らかにクオリティが上がったなという印象を受けました、
東京ゲームショウではインディーゲームコーナーがありますが、クオリティはどんどん上がっており、ただのアイデア勝負のゲームから、アイデアを活かしたシステムや操作感、見た目にもクオリティの高いグラフィックなど驚く様な作品が多数見られました。
アクワイアのインディーズ参入はちょっと意味が違う気もするけど
また同時にアプリからの横展開も進んでいます。Nintendo SwitchはPS4、Xbox、Steamへ展開するアプリも見られ、これはゲームを作る環境が変わってきたことも大きく関係しますが、それと同時に開発者の意識の広がりでもあります。
アプリでお馴染みのノベルゲーム「ghostpia」はSwitch版発売へ。グラフィックやエフェクトの追加、Switchを活かしたHD振動などあらゆる面でクオリティアップと専用対応をしている。
大手ゲームメーカーはコンソールゲームの世界から少しずつよりユーザーに身近なアプリに進行してきたのと同じ様に個人開発者はアプリを起点にそこから世界を広げはじめていっています。
アプリの人気作「Star:one」もSwitch版を発売へ。
さらにアプリで「ドランシア」や「フェアルーン」をリリースしているSkipmoreは「ピコンティア」「トランシルビィ」といったSwitchオリジナルタイトルを開発中。
ゲーム業界はいまや大手メーカーだけが牽引するものではなく、小さなメーカーが小さなアプリという世界から大きな世界へユーザーを押し出すような動きをしているのではないでしょうか。
昨年までゲームショウにおけるアプリの存在というのは良くも悪くも少し先が見通せる感じがしましたが、今年はいよいよ先が読めなくなってきました。
また来年この場所でゲーム業界におけるアプリたちがどんな姿でいるのか非常に楽しみです。