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アプリとゲーム専用機ソフトの垣根は消え、ゲームショウに出展する意味を問われる時代へ。スマホメディアから見た「東京ゲームショウ 2017」レポート

2017/09/21 20:36

アプリとゲーム専用機ソフトの垣根は消え、ゲームショウに出展する意味を問われる時代へ。スマホメディアから見た「東京ゲームショウ 2017」レポート

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 2017年9月21日(木)本日より東京ゲームショウ 2017が開幕しました。スマホメディアであるミートアイならではの視点で現地レポートをお送りします。

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いきなり総括

 毎年好評なので、今年もとにかく冒頭で総括しちゃいます。タイトル個別の情報などは後々。

 遂にという感じですが、個人的には今年でアプリとコンソールゲームの垣根は完全に消えたという感想です。

 昨年も、その差がなくなってきたという感想を持ちましたが、今年になりそれはより顕著に、ほぼ完遂されたという気がします。その最大の特徴として、超大手ゲーム会社のブースでの扱いの差が無くなったということが挙げられます。

 例えばセガは毎年ゲームショウに巨大なブースを出展していても、アプリの扱いは小さいものでした。もちろんそれが悪いというわけではなく、むしろゲームショウという場において間違いではなかったとも思います。

 他のゲーム会社も同様、コンソールとスマホどっちも出すものがあるけど、スマホの扱いはちょっと小さめ、というのがけっこう当たり前でした。

 それが今年になり、セガの最初のゲームステージは最新作「D×2 真・女神転生 リベレーション」でしたし、コナミも「ラブプラス EVERY」に長蛇の列。スクウェア・エニックスも序盤に「FINAL FANTASY EXPLORERS FORCE」ステージが行われました。

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 以前はスマホゲームは試遊はあるけどメインのステージにはでない、といったこともザラでした。やっとアプリゲームの扱いはフラットになったと言っていいと思います。

 しかし、あくまでフラット。逆に言うとコンソールと当たり前の様に比較される事業になったとも思います。

 そこで訪れたのがアプリゲームの大IP化です。上述した様にステージに上がれるアプリは巨大IP作品。当たり前といえばそうですが、オリジナル作品はなりを潜め、ビッグタイトル且つアプリだけどコンソールゲーム級にリッチなもの、ばかりが目立つようになってきました。

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 これは東京ゲームショウという華やかな大舞台だからということもありますが、現在のアプリストア全体にも当てはまる部分があります。

 その一つの結果として、今年出展企業にもかなりの変化がありました。それが、いわゆる「携帯ゲーム会社」の撤退です。

 DeNAは出展無し、グリーも子会社のポケラボと小さなブースでの出展で新作のステージやプレイアブルは無し、前々回に全てのブースの中でも最大級の出展をしていたサイゲームスも見る影もありません。

 ガラケー時代に端を発する携帯ゲーム会社はスマホブームに乗り拡大を遂げたところもありますが、そのままゲームショウに出展することが利に繋がるというかというとなかなかそうではありません。

 もちろん私がそれらの企業がゲームショウに出展して得た利害を知っているわけではありませんが、結果としてあれだけ拡大の一途を辿っていた企業ブース達がごっそりいなくなるということは少なくとも効率的な成果があったとはいい難いのだと考えていいと思います。

 コンソールゲームや巨大IPでは事前の大々的な告知による、いわゆる「損して得取れ」的な施策が行われていますし、やっているということはやはりそれだけの価値があるのだと思います。逆にスマホゲームに関しては、なかなかそういう施策は難しい、というより直接的に言うとあまり利益につながらないのだと考えられます。

 おそらく、そういった告知にお金を使うより、ゲーム内イベントの充実やSNSやWebを使った告知の方が効果があり、そちらに注力しているというのが現状でしょう。

 今やスマホゲームもゲーム業界の一端を担う大きな存在になりました。

 しかし、ことゲームショウという場において、そこに出展することがイコールでは無いということが明確になってきたのだと思います。スマホゲームだけどゲームショウに出す価値のあるもの、出す必要の無いもの、出るべきメーカー、出ても意味の少ないメーカー、千差万別でそれぞれに正解があり、あらゆる可能性が存在するということです。

 スマホゲーム拡大の過渡期に於いて、東京ゲームショウに出ることはコンソールゲームに並ぶということの象徴であり、一つの目標であったと思います。

 しかしその時期は遂に終わりました。終わったからこそ今改めてゲームショウに出る意味とは何か、きちんと理由を持って出展するというフラットな関係になったのではないでしょうか。

注目のアプリ

 ■ラブプラス EVERY

 今年のアプリゲーム最大の人気作は間違いなくこれでした。VRで彼女たちと会えるというブース。

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 開場20分ほどで列は100分以上の待ち時間となり、列が途切れることはありませんでした。

 出展ではVRメインですが、実際のアプリではDS/3DSの後継ゲームになるようで、この時点でこの人気ということでかなりリリースが楽しみなゲームです。

 ■D×2 真・女神転生 リベレーション

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 プレイアブル可能。さらにVRコンテンツも用意されていました。

 プレイした感想としては、直球のRPGという感じです。戦闘はオーソドックスなコマンド式で女神転生シリーズの醍醐味である悪魔合体もあり、ただし移動や探索といったRPGらしい部分はステージ進行形となりスマホに最適化する部分はしっかりする、といった内容。バトルのテンポも非常に良く、グラフィックは画像で見るより実際に動く様子を見ると遥かによく出来ていることが感じられます。

 シリーズ経験者も納得の出来になると思います。

 ■龍が如く Online

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 ステージにて少しだけ紹介されました。大きな新規リリースはありませんでしたが、新しい紹介映像にて初出のゲーム画面が登場。

 内容についても多くは触れられませんでしたが、画面から察するにバトルはおそらくカードデッキ型のRPGになるのではないかと思われます。

 ■FINAL FANTASY EXPLORERS FORCE

 FFの世界観で最大5人でオンラインプレイできるマルチアクションRPG。ステージ上での実機プレイによる詳細な紹介が行われました。

 さすがはスクエニというべき凄まじいグラフィックと、非常に快適な操作性。

 MMOタイプではなく、狩ゲータイプのしっかりとしたアクションゲーム。シリーズに登場した召喚獣たちが巨大ボスとして多数登場。

 近日中にAndroid版のみクローズドβテストを実施予定。詳細は別途発表するとのことです。

VR

 ここ1,2年のトレンドとしてVRがありましたが、それもいい意味で落ち着いてきて当たり前の時代になりました。ただなんでもVRですればいいというわけではなく、前述のラブプラス然りVRにあったコンテンツがしっかりとVRを用いて訴求してきています。

 ことアプリにおいては、新作というよりもどちらかというと既存アプリのコンテンツ拡充やPRのためのゲームショウ専用のVR化コンテンツ提供が見られました。

 なかでも、カプコンの「囚われのパルマ」は、ゲームショウ専用の「VR面会」ブースを展開。配信から1年が経っているアプリにもかかわらず数十分待ちの長蛇の列ができていました(もちろんほぼ女性)。

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 他にも配信中のアプリでは「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」もVRコンテンツを用意。こちらも大人気でした。

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最後に

 最初の総括でアプリとコンソールゲームのフラット化を述べましたが、一箇所だけまだアプリの伸長を感じられる場所がありました。

 それがインディーゲームコーナー。

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 主に個人や小規模開発のゲームが並ぶ、一つ一つのブースは小さなコーナーですが、出展されるゲームのクオリティは年々上がっています。

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 UnityやUnreal Engineといったミドルウェア・ゲームエンジンの進化にともない小規模でも高グラフィックで操作性の高いゲームを作れる様になった影響が大きいと思います。

 大手企業のアプリが巨大化する一方で、気軽に遊べてアイデアが光るゲームというスマホらしいゲームが一番見られるのはこのコーナーかもしれません。ぜひ立ち寄ってみて下さい。

 アプリゲームは遂に過渡期を終えたと言っていいかもしれません。

 ゲーム業界も不況と言われる中、ゲーム業界全体のなかでアプリが特別な存在ではなく、ただの一プラットフォームの違う場所として今後どうなっていくのか、その一端が今年は見られるかもしれません。

ライター名

この記事を書いた人

イマ&ムラ

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