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本日8月14日はゲームアプリ「彼女は最後にそう言った」の物語内当日。本作が何故多くの人の心に響いたのか振り返ってみました

2017/08/14 19:55

本日8月14日はゲームアプリ「彼女は最後にそう言った」の物語内当日。本作が何故多くの人の心に響いたのか振り返ってみました

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 本日8月14日はゲームアプリ「彼女は最後にそう言った」のゲーム内当日です。

 アプリが配信されたのは2015年5月、リリースから2年以上が経過した現在アプリの評価は約10,000近いレビューが投稿されていながら星評価は最大の5(正確には4.9)という類を見ない高評価で支持を得続ける名作というのにふさわしいゲームです。

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彼女は最後にそう言った

価格:無料

カテゴリ:アドベンチャー

 泣けるゲームとして有名な本作ですが、何故それがここまで評価を得たのか、物語と同じ日である今日、今一度振り返ってみたいと思います。

「彼女は最後にそう言った」はどんなゲーム?

 まず最初にちょっとだけですが、ゲーム自体を改めて紹介。

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 ジャンルはいわゆるアドベンチャーゲームであり、昔ながらのドラクエ的なRPG風ドット絵で事件の起きる村を探索しながら、謎をといてストーリーを進めるというタイプ。

 絶賛されているストーリーが良いのは言わずもがなですが、実はゲームの仕組みとしてのシステム部分が優れているのも見逃せません。

 ドット絵RPG風ですが、操作は疑似パッドによる移動ではなく、タップした場所にシュッと高速で移動するという形を取っています。これが非常に快適。

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 人に話しかけるなどもコマンドを必要とせず、離れていてもタップすれば一瞬にして移動して会話が始まる、といった感じで”如何にストレスなく物語を楽しめるか”がシンプルな作りの中にもしっかりと考えられています。

 メインとなるストーリーはいわゆる「時間ループもの」。地元に帰ってきた主人公が誕生日である祭りの当日、4年前に死んだはずの同級生から手紙が届く。

 同級生の命日でもあるその日、彼女に何が起きたのかループする時間のなかで真相を探すために奔走する。といった内容です。

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感動を伝えているのはその◯◯力にあり

 では、改めてなぜこのゲームがこれほどまでに絶賛されるのでしょうか。

 シンプルに物語が良いから?

 それはもちろんです。でも単純に物語が素晴らしいゲームならアプリでも多くあります。大手ゲーム会社が手がけるものであれば、有名シナリオライターが本気で挑んだ即小説化可能レベルの作品もありますし、実際にアニメ化している作品などもあります。

 ドット絵が懐かしくも美しいから?前述のようにシステムが優れているから?

 私が思うどんな大手も出来ていない、このゲームしかなし得ていない凄さが一つだけあります。

 それが”演出”です。

 このゲームでは話したり、調べたりすることでウィンドウ内にテキストが流れていくという当たり前の方法こそ取っていますが、実はそこに非常に細やかな工夫がされています。

 台詞の最後に次の引きとなる「…」が入っていたり、逆に言いよどむ際には頭に「…」が入る、またウィンドウには最大3行までテキストが入りますが、敢えて一行ずつ、時には一言ずつしか流れない、といったこともあります。

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 まるで舞台やドラマで実際に人が演じている状態を作り上げて、人が喋る”間”までも考えてから、それをテキストに落とし込んでいる、そういった作りが垣間見えます。 この細かな流れの変化が絶妙で、そのキャラクターが人としてリアルに喋っているように、まさしくキャラクターに命を宿していているように感じさせてくれるのです。

 またモノローグが活用されるシーンも多く、主人公が頭の中で考えたこと、思いついたこと、疑問に思ったこと、過去の重要なやり取りなど、物語の核に迫る際に他の情報を省き、そのテキストのみを見せることで、その情報にプレイヤーを集中させます。

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 これらの点はそれだけ見れば取るに足らないちょっとした工夫に感じられるかもしれませんが、実際にここまで言葉にこだわって作られているゲームはなかなかありません。

 多くのスマホのゲームで見られるのは、横画面でキャラクターが一人ないし二人が画面に映っていて下のテキストウィンドウに台詞が入る。一人が喋ってる時は片方がグレーアウトしてそれが入れ替わる、位のものではないでしょうか。

 またそれらの台詞が入るタイミングや映像・音楽とのリンクも他を圧倒しています。

 物語のクライマックスでの音楽のフェードインするタイミング、台詞と共に動き切り替わる視点など、ドット絵でありながらそれをただの粗い絵とせずに、その中でできる表現をとことん突き詰めており、これこそがテキストの、ひいては物語の内容をただそこにあるだけのものにせず、よりダイナミックにプレイヤーの感情に訴えかけているのです。

 テキストをただの文字の羅列とせず、その表し方をも一つの表現とする。これこそが感動をより強いものにしている正体「演出力」だと私は思います。

 もちろん、これらを理解してプレイしろというのではありません。作り方や演出というのははあくまでそれ自体が目立つものではなく、本来伝えるべきものを如何にスムーズに行うかの補助的なものです。プレイヤーはそんなことを気にせずに内容がスッと入ってくるのがあるべき姿です。

 というわけで、色々と書き連ねてみましたが、改めて今日という日を振り返ってこのゲームをプレイしてみてはいかがでしょうか。

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彼女は最後にそう言った

価格:無料

カテゴリ:アドベンチャー

ライター名

この記事を書いた人

イマ&ムラ

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