Epic Gamesが提供するゲームアプリ「Fortnite」がApp Store、Google Playから削除されています。

　これはEpic GamesがApp Store内の課金システムを通さず、独自のアプリ内課金を施行したことでAppleからStoreの規約違反として措置を受けた形となります。

　元々App Storeでアプリを配信し、アプリ内課金を実施する際は手数料として30%をAppleに支払う必要があり、Epic Gamesがそれを拒絶する形で違反したこととなります。

　Epic Gamesとしてはその手数料が高すぎるという主張の下に独自課金システムの施行に踏み切った、となります。

　アプリの新規DLはできなくなりましたが、過去にDLしたことのあるユーザーであれば再ダウンロードは可能です。ただし、今は従来と同じ様に遊べるとしても新機能などのアップデートはされませんし、このタイミングで新コンテンツなどが追加された場合はアプリユーザーのみそれが提供されない、また整合性を取るためにアプリがあっても遊べなくなるといった可能性もあります。

　さらにEpic Gamesは、かつてAppleが放送したCM「1964」のパロディ動画を公開し、かなり挑発的な態度を取っています。

　この「1984」は当時Appleがまだパーソナルコンピューター業界に於いて新参であり、独占的立場にあったIBMへの反発として作られたCMでした。Epic Gamesはそれを、今独占的な立場にあるのはAppleだとして、皮肉や意趣返しのような形で動画を公開したとみられます。

　他にもEpic Gamesはユーザーに支持を呼びかけており、全体的にAppleに攻撃的な姿勢をとっています。

　個人的な思いとしてはAppleはすべてのデベロッパー（パブリッシャー）に同じ30%という率で手数料を要求しているだけで、そもそもそれは公になっていることであり、反発するのであれば最初からApp Storeというプラットフォームでアプリを出すことをしなければいいのでは？という気がしてしまいます。売れたあとから手数料が高いと騒ぐのはちょっと違うのでは？と。

　ちなみに30％の手数料というのは、Google Playも同じくPS Store、Nintendo eShop、Xbox Storeなども同じです。

　ただ、Fortniteレベルになるとその30％が相当な金額に当たることになり、そういう気持ちになることがある、というのは（現象としては）理解はできます。

　また以前からApp Storeの手数料の価格是非については何度も話題になることがありました。他にもiPhoneにアプリを配信できるのはApp Store経由のみであり、それが独占にあたるのでは、という議論も度々なされてきました。しかしこれも、じゃあiPhoneで出さなければいいだけ、他にも（デバイス自体が別となってしまうが）アプリやソフトを販売する場所はある、コンソールゲーム機なども条件はそう変わらない、と堂々巡りの様な状況でした。

　プラットフォーム上で配信するということについては、そこに出すことでセキュアで一律の課金のシステムが利用できる、世界中に簡単に配信できる、同一プラットフォーム上でユーザーから発見してもらえるなどメリットが多数あり、おそらく個人開発者レベルでみれば30％という金額について、その30％で各個人・デベロッパー同じことが出来るのか？という問いをすれば安いと感じる人もいるレベルだと思います。

　しかしこれが大手となると、そういった仕組みの部分は自社でまかなえるものであり、ただ独占されているプラットフォームに配信するために手数料がかかってしまう、という認識になる面があるのも事実です。

　まただからといってあまり独占がすぎるとそれはそれでプラットフォーム側の暴走を生む（過度な手数料の値上げ、偏ったアプリの審査など）原因にもなりかねないこともあるといえばあります。

　実際に、AppleとEpic Gamesの間で話し合いの場は設けられたのか、どれだけ行われたのかなどは当事者しかわからず不明ですが、とはいえ今回のEpic Gamesのやり方は自らのユーザーを人質にとる様なやり方とも取れ、ちょっとフェアでは無い気もします。そうでもしないとAppleに意見ができない、という面もありそうではありますが…

　現時点でシンプルに損をしているのはアプリストアのユーザーであり、一刻でも早く決着がつくことを望みたいですね。