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これは「ロマサガ」か、と言われると判断が難しい。戦闘はまさにだけどムズさまで再現、ストーリーはフリーシナリオじゃないけど面白い「ロマンシング サガ リ・ユニバース」レビュー
2019/01/12 19:58
「ロマンシング・サガ」シリーズから正当な続編としてリリースされた「ロマンシング サガ リ・ユニバース」。「ロマサガ」のエッセンスをいたる所に感じることができ、何よりシンプルにゲームとして面白いのですが、今までの「ロマサガ」かと言われるとなかなか難しい、そんな絶妙な立ち位置のゲームとなっています。
まず最初にバトル。これは文句なしにロマサガです。確かに細かい部分は違うのですが、もとよりスマホというプレイ感覚が違うプラットフォームでの展開なので、むしろ良くスマホで遊びやすい形にロマサガの戦闘の醍醐味を入れてくれた、と感心するレベル。
コマンド式で、キャラクター毎に画面下に大きく通常攻撃とわざの一覧が出るので上下にスクロールして選んでいけばOK。オーソドックスな形をベースにスマホで操作しやすくなっています。
そしてロマサガといえば閃き!戦闘中にキャラクターがわざを閃くことで新しいわざを使えるようになっていきます!
さらに陣形を変えることも可能。パリィ+インペリアルクロスもちゃんと再現できます。
属性は斬・打・射・熱・冷・雷・陽・陰と8つもあり、ダメージに相当影響します。単純に相対するものなら得手不得手というものでもないのでボスと戦う際などはかなりここが大変になります。
さらに状態異常などもありますし、何より結構基本ステータスのHPは低めです。得意でない属性の敵と戦うとわりとガンガン簡単に死にます。ここらへんがそんじょそこらのスマホRPGより難しく、しかし非常にロマサガらしい出来になっています。
ロマサガシリーズに慣れた人なら初見の最初のダンジョンで死にまくらないだけマシ、くらいの感覚かもしれませんが。
ただ、これがちょっと難しいというだけでなく、遊ぶと非常にやりごたえがあって面白いというのが最大のポイント。
わざのポイントであるBPはターン毎に回復するので、通常攻撃とわざをバランス良く使うという戦術性に上述の属性の相性や陣形といった戦略性が見事にマッチしていて緊張感のあるバトルが楽しめます。
そして、そのちょっと難しいバトルを乗り越えられる様に育成がしやすくなっているのが今らしくありがたいところ。
遠征をさせれば時間放置で基本ステータスを上げることができますし、勝てるレベルの雑魚戦でもスタイルのレベルを上げるためのポイントは結構入ります。ドロップする武器の種類も戦闘前に確認できるので、必要な武器が手に入る場所で周回していれば基本ステータスのアップ+必要な高ランク武器の入手と、育成素材に使える低ランク武器も大量に手に入ります。
キャラクターステータスの構成がちょっとややこしいのですが、キャラ自体が持つステータスにスタイルと言われるジョブの様なものをプラスしてできています。
ガチャなどで入手できるのはこのスタイルの部分で、キャラ本体部分は共通して使えるので育成が無駄になりません。
そしてストーリーの部分ですが、正直これがロマサガかというと作りとしては全く違うと言わざるを得ません。なぜならフリーシナリオじゃないから。
普通に一本道のストーリーとなっており、そこはロマサガとはやはりいい難いとなってしまいます。そして、ちょっと気になるのがかなり断片的なところ。
おそらくスマホ向けを意識して、1パートを短めにするためだと思うのですが、いきなりストーリー上のパーティメンバーが変わっていたり、序盤はかなり戸惑います。
設定上、主人公は組織に属している1メンバーなので、ミッションに応じて組まされるパーティメンバーが変わるというのはわかるのですが、その説明などがなくいきなり話しかけてくる仲間が誰か知らんやつだったりするので、訳わからなくなります。
ただ、ただですね、それらの仕組みを理解さえしてしまえば、これがなぜだか結構ストーリーが面白いんですよ。
1パートを短く切っているため、戦闘でつまづきさえしなければサクサク物語が進みますし、説明などが少ないため展開はかなり早いです。
さらに、ストーリー上のパーティが勝手に変わるということさえ理解していれば、固定メンバーなども出てきてじわじわ理解も深まっていきます。
断片的と取れるストーリー展開も、慣れると昔の説明の少なかった時代のRPGという感じで、ロマサガというよりゲームボーイ時代のサ・ガや初期のFFの様な感覚で楽しめてしまいます。
ロマサガの作りではないですし、わりと謎の仕様ではあるんですが、結果として物語が楽しめてしまっている自分がおり、この無茶とも思える仕組みは意外と成功なんじゃないかと思えてきます。
とにかくこのゲームはバトルがメインです。ロマサガのエッセンスをしっかりスマホ仕様に落とし込んでおり、緊張感がありつつも挽回しやすいスマホ向けにもなっている絶妙なバランスのゲーム性があり、個人的にはなんだかんだでストーリーも楽しめているという、不思議な中毒性をもったゲームに仕上がっています。