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消費者庁が「スマホをタップするだけでお金が稼げる」といった謳い文句で多額の金銭を支払わせる事業者に関して注意喚起
2018/10/21 12:08
消費者庁が「「スマホをタップするだけでお金が稼げる」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起 」を掲載しています。
平成 30 年4月以降、「スマホをタップするだけでお金が稼げる」などとうたう事業者に関する相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられているとのこと。
「株式会社 Quest」(法人番号9010701035252)という事業者が消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び断定的判断の提供)を確認したため、消費者安全法(平成 21 年法律第 50 号)第 38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者へ注意を呼びかけるものとのとなっています。
この内容については都道府県及び市町村に提供し、周知するそうです。
簡単に言うと、広告には簡単にお金が稼げるといった旨を掲載し人を集め、情報商材を販売、さらにそこから電話などで具体的に接触して、より多く収益を得るにはさらに高額なコースに入る必要があると誘導してお金を支払わせる、といった内容です。
こういう風にまとめてしまうと、そんなのに引っかかるわけない、と思いがちですが、消費者のちょっとした心の隙をつくように出来ており、段階を踏んで支払い金額が上がるなど巧妙です。
具体的な事例の概要
業者はSNS等の広告に「スマホをタップするだけでお金が稼げる」、「無料モニター募集」などと掲載し自社が運営するウェブサイトに誘導。
そこには「稼ぎたい方必見!応募者全員ハズレ無し!」「爆速即金 GET アプリ特別配布! 」「今話題の仮想通貨 10 万円相当! 」など記載、ここからメールアドレス登録させる。
さらにそこからLINEの友達登録を促し、登録した消費者に「応募者 10,000 名以上の多数につき、抽選後の発表となります」 「明後日のお昼 12 時の当選発表を楽しみにお待ちください」 といった形で抽選イベントの反響が大きいことをアピール。
またLINEメッセージでは消費者に提供するビジネスを考案したとする通称あやパンと称する人物が、料理の合間にスマートフォンを操作するだけで、2万円以上の収益を得たとする動画の URL を貼付して、消費者がその動画を見るように促します。
そして、LINE友達登録をした約2日後に「先着 100 名限定特別モニター体験付きに当選しました」 「最大5万円キャッシュバックプレゼント付」 といったメッセージを送信。ビジネスを申し込むためのウェブサイトに誘導。
ウェブサイトには「最短即日入金!1万円~100 万円まで自分にあった仕事スタイル」 「今なら期間限定で5万円プレゼントイベント実施中!確実に受け取れます!」といった内容が記載、1期生として本件ビジネスを体験し、現在も 10 万円以上の月収を得ていると説明する4名の動画が掲載されています。
そこに初期費用については「2期生だけの特別価格 18,000 円」 と記載。消費者は消費者は、5万円のキャッシュバックがあれば、損をすることはないなどと判断し、初期費用を支払います。
初期費用を支払った消費者に対し、情報商材(「タップイズマネー」という名称の PDF ファイル)をメールで送信。本件ビジネスが商品を安く仕入れて高く売るいわゆる「せどり」であることが記載されており、消費者はこの時初めて本件ビジネスの内容を知ることになります。
情報商材には、せどりのノウハウや Quest が初期費用を支払った消費者に提供している SSO という名称のせどり支援ツールを使用すれば、初心者でも安心して収益を上げることができるとも記載。
ただ、このSSO、大手通信販売サイトで販売されている人気商品や販売価格などを検索することができるようになっているのですが、これを使い商品の販売価格を検索し、その商品がより安く販売されている海外の通信販売業者等から仕入れて、大手通信販売サイトでその商品を出品し、利益を得ようとしても個々の商品の売れ行きは顧客の判断に依存するため、初心者でも簡単に稼げるような仕組みにはなっていません。
消費者庁が確認した事実
そして実際に消費者庁が確認した事実として、本件ビジネスを考案したあやパンや1期生4名が収益を得ているとする事実はなかったとのこと。
あやパンは Quest がカリスマ的な指導者を演じさせた架空の人物であり、他の人物も演者にすぎず、1期生も存在しなかったそうです。
また、に「今なら期間限定で5万円プレゼントイベント実施中!確実に受け取れます!」と記載していましたが、5万円のキャッシュバックを得るには本件ビジネスによる売上げ 50 万円以上が必要であるなど、事前に明らかにされていない厳しい条件があり、誰もが5万円を確実に受け取れる仕組みになってもいませんでした。(虚偽・誇大な広告・表示)
他にも、電話勧誘での高額コースについても不確実な内容を高額な収入を得ることができるように伝える、代表は廃業する旨を述べているが平成 30 年 10 月 16 日現在、同社 の商業登記については解散登記も清算人選任登記もなされていないなどが判明しています。
消費者庁からアドバイス
最後に消費者庁からのアドバイスとして「簡単に高額収入を得られることを強調する広告や宣伝には、特に注意が必要」「カリスマ的な指導者が収益を得ていることをアピールしたり、虚偽の体験談を掲載したりして、簡単に稼げることを信じ込ませようとする業者も存在する」「少しでも怪しいと思ったら、すぐに契約をせず、行政機関の注意喚起などの被害防止に有益な情報を活用する」「取引に関して不審な点があった場合は、お金を支払う前に、各地の消費生活センター等や警察に相談」といったことを呼びかけています。
「スマホをタップするだけでお金が稼げる」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起(PDF)