嗚呼、おビンタに次ぐおビンタ哉!相続をめぐる激しくも美しいおスワイプバトルは、シンプルながらも奥深い!「薔薇と椿」レビュー

 華々しい華族の世界…しかしそこには嫉妬と欲望渦巻く人間関係があるということは、古来からの習わしであります。



薔薇と椿 ~伝説の薔薇の嫁~

価格:無料

カテゴリ:アクション

 この作品もそんな華族の悲しき運命に導かれ、一歩外に出ればそれこそ注目の世の的であろう美しく高貴な女性たちが本能と欲望をむき出しにして争うゲームなのです。

 そして、その戦い方は…おビンタ!!

 高貴だからこそ、その争いは原始的!それを制してこそ真の華族と言えるのです!

 …なんだかよくわからん書き出しになりましたが、金持ちの女性たちが遺産を巡ってビンタで戦うゲームです。

 操作はめちゃくちゃ直感的。時間によるターン制になっており、自ターンでは右から左へのスワイプで相手をおビンタ!

 相手のターンになったら右から左へのスワイプで相手のおビンタを避ける!基本はそれだけ。

 見た目そのまま、シンプルにして爽快なスワイプアクションです。一筋縄ではいかない一族の淑女たちを打ち負かし、富と名声と誇りを手に入れましょう。

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 で、実はここからが本題。本題というより本質、といったところでしょうか。

 このゲーム、上述の内容に偽りはないのですが、おそらく実際にプレイされると2人目の敵、静香に完膚なきまでにボッコボコにされるはずです。

 1人目の沙織に対していきなり強くなりすぎじゃない?と感じると思いますが、そこにこそこのゲームの真の作りが見えてきます。

 2人目の静香にやられる要素としては、相手のHPが高い、カウンターを入れてくる、フェイントを仕掛けてくる、といったことが原因となると思います。

 対して1人目の沙織は、多分初見でやっても大体勝てる様にできています。簡単にいうとどういうゲームなのかを知るための相手となっています。

 これについていきなり難易度が上がってバランスが悪い、と感じるかもしれませんがさにあらず。何度もプレイしているうちに、これは敢えてこういう作りになっているのでは、と気づきました。

 この2人目の静香の仕様が絶妙で、上述した勝ちにくい要素であるカウンターやフェイント、それらを攻略しつつ、プレイヤーもやらなければ勝てない(勝ちにくい)様になっているのです。

 つまり、2人目と対戦して、一歩上の相手の戦い方を学べ、ということなのです。

 そして、プレイヤーは何度もコンティニューできるのですが、おそらく静香相手にずっとコンティニューし続けていても勝てるようになりません。

 そこで重要なのが1人目の沙織です。静香に挑んで相手の戦い方を学び、無駄にコンティニューするのではなく一度戻って沙織で試せ・腕を上げろ、という作りなのです。

 そうすると最初、ただの雑魚キャラだった沙織に対しての認識も変わってきます。いわゆる1面にあたる沙織は、単にゲーム紹介として流してプレイする相手ではなく、如何に1面の相手の動きが少ないうちに高度なプレイができるか自身の技術向上といった、続く2面に向けての練習や調整のためのステージというわけです。

 このゲームにはチュートリアルがほぼありません。操作説明も1枚の画面のみ。しかし実は数々の要素を含んでいます。ただし、それらはチュートリアルでわざわざ説明する類のものではなく、プレイヤーが遊ぶことで学んでいくものである、おそらく作者はそう考えているのではないかと思います。

 しかもシンプルなアクションゲームでソーシャル要素なども無いので、基本的には同じゲームを繰り返し遊ぶというゲームです。

 これらをまとめて、一言で言ってしまうと作りそのものが昔風なのです。昔のアーケードゲームやファミコン時代のセーブの無いアクションやシューティングゲームの様な感覚といえばよいでしょうか。

 そういう意味では、画像やストーリーは今も通じるネタ的な要素を見せながら、実は今どき珍しいゴリゴリの硬派なゲームともとれるという、色んな意味でチャレンジングなゲームです。

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