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だまし絵の世界を進むパズルゲーム「Monument Valley」のデザイナーが手がける、プレイヤーがアクションをすることで物語が進む絵本の様なインタラクティブ・ストーリーブックアプリです。
私達が喋る時に言葉を選んで文を紡ぐようにパズルを組み合わせてフキダシを作り、時計の針を指で回せば時間が進んでいく、恋や夢をテーマにプレイヤーの動きと連動して物語を楽しめます。
主人公は平凡な日常を送る「フローレンス」毎朝いつも通りの時間に起きて歯を磨きSNSを見ながら通勤します。目覚ましをタップで止めて画面をスクラッチして歯を磨き、共有やいいねは思いのままタップ。プレイヤーは指先で画面を操作するのですが、まるで本当に彼女の日常を過ごしているかの様に見事に操作感と画面がリンクして進みます。
母親から電話がかかってきたり、夜ご飯を食べたり、別に解答や順番に正解はありません。ただ、プレイヤーが実際の行動が彼女の動きになっている、ということが重要なのです。
そして彼女はそんな何気ない日常の中で男性クリシュに出会い、少しずつ心を惹かれていきます。
この会話シーンが見事で、フキダシの中に文字はありません。プレイヤーはパズルを組み立てるようにフキダシを作ることで会話をしている、というふうに物語が進んでいきます。
少しずつ進んでいくとパズルのピースがどんどん減っていきます。
これがゲームアプリなら進むに連れてパズルは難しくならないといけなさそうなものですがその逆。だんだんと二人の心の距離が近づくに連れて言葉を選ぶ必要がなくなり自然と会話が進むようになる。
このピース一つ一つが言葉であり、始めほど組みわせることに気を使いますが、簡単になるにつれて二人の言葉が自然になっていく様が感じられます。
もちろん最後は会話は難しいものでなくなり、不要になります。
それから二人は付き合い、同じ部屋で暮らす様になりますが、引っ越しの荷物をどう片付けるかも自由。
パズルの様にどこに何を置くか動かして行きますが、これも正解はありません。ゲームの様に正解を探して悩むのではなく、今いる部屋にもう一人大事な人が住む様になったらどうレイアウトしようかな、と考えるのが楽しくなる作りになっています。
彼クリシュにはチェリストになる夢があります。そして彼女は今は平凡な日常に忘れてしまいがちですが、幼い頃には夢がありました。彼と暮らしているうちに少しずつその夢のことを思い出していきます。
これ以上書くと大事な物語のネタバレになってしまいそうなのでこの先は控えますが、物語を進めるためのプレイヤーのアクションが小気味よく、何かをしなければ物語が見えない、というやらされている感覚ではなく自然と指が動くとそこに合わせて物語が動いていく、という作りが見事です。
また音楽も素晴らしく必ず聞きながらプレイして欲しいです。
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