2018年ゲームアプリの業界情勢を振り返る。爆発的には売れにくくなったアプリ市場とその背景、今後について

 2018年もなんやかんやで終了ということで、最後に駆け足ですが2018年のゲームアプリ事情を振り返ってみたいと思います。

大ヒットが出ねぇ…

 ここ2,3年前から言われはじめていたことですが、今後数年続くであろう大ヒットアプリ、というのが出なくなってきました。というよりほぼ出ませんでした。

 それも当たり前ですが、すでに上が詰まってるんですよね。数年前からいる「パズドラ」や「モンスト」「デレステ」「FGO」などずっと売れ続けているアプリがまだ元気なもので新参がそのポストに入れない。

 大御所から中堅が元気なおかげで新人が売れる機会や持てる番組がなかなかこないお笑い芸人業界みたいなものです。

それどころか死期がどんどん早くなる

 大ヒットは出ない、けど中ヒットくらいで生きていけるアプリがいっぱい出るか、というとそれも難しいわけです。

 すでにアプリ業界も企業による開発では開発費は以前よりはるかに高くなり、一発一発の勝負が大きくなってきてしまっています。その上、業界にも少しずつ知見深まっていき、現在の状況から先をすこしずつ読みやすくなってきました。何が売れるとかではなく、これれならどこまでいけるかいけないか、という内容において。

 少し前までならちょっと初速微妙でも、どこかで取り返せるかも、2年くらいならそこそこ頑張って様子を見てそこから再度判断しよう、というような動きがありましたが、今年あたりからいよいよ判断がすばやくなってきました。

 かなり早期の段階で無理なものは無理。何年やろうが取り返せないだろう、という判断が増えリリース1年未満で終了宣言というのも珍しくなくなってきました。

 売れなければ仕方ないわけですが、それでもユーザーはいるわけで、サービスを信じて遊んで支えたユーザーからするとショックですし、何より今後またそういうことがありそうなら次や別のタイトルもあまり入れ込みたくない、という買い渋りが発生します。負の連鎖が発生です。

 今年リリースされたアプリなのに「機動戦士ガンダム 即応戦線」「ときめきアイドル」などは2019年初頭にサービス終了を宣言、「FIGHT CLUB」などはすでに年内で終了してしまっています。だいぶ悲しい。

何なら売れるのか

 辛い状況ばかり嘆いていてもしょうがありません。そんな中でも新たに売れたアプリはあるわけです。では、どんなアプリが実際に売れたか見てみましょう。

 今年リリースされて人気となったアプリでいうと「‎Fortnite」「ブロスタ」などは定番化が見え、「‎ドールズフロントライン」「‎アリス・ギア・アイギス」あたりも健闘しています。

 ここからは個人的な感想に近いのですが、これらのアプリが売れた理由はどこにあるのかというと、まず”コンセプトがはっきりしている”、そして”それを活かすためのシステムがゲームの土台としてしっかり作られている”ことが基本にあり、プロモーションとして”前評判が良く、それを受けてそれ以上の結果を返している”ことがあると思います。

 いやいや、そんなの当たり前だし、それこそ他のゲームもそれくらいやってるでしょ?とお思いではありませんか?

 本当にそうでしょうか。

 意外とこれら全部をキチンとこなしているアプリって実は大手でもあまりなくないですか。それこそ最初に挙げた売れ続けているアプリたちはなんだかんだでこういったことをこなしているのではないでしょうか。あえて突っ込んでそれらアプリが欠けている部分があったとしても、リリース当時で考えるとおそらく他よりは優れていたはず。逆に言うと時間が経過して市場が進んでしまった今だから各内容で求められる基準が上がり、今アプリが売れにくくなっているとも考えられます。

 じゃあ結局、基本をやっておけば売れるんか!?ワイのところもちゃんとやっとるワイ!という方もいらっしゃるはず。まぁそう思いますよね。自分でもそう思います。しかし、そこはさらに基本に立ち返ってみるとやはり娯楽の世界、趣味嗜好やその時の時勢やブームなども影響します。もちろんコンセプトや作りが死ぬほどニッチすぎれば丁寧だろうが難しいということもあるでしょう。

 また今まで長きにかけて、売れないにしても中ヒットを飛ばすアプリのなかでまぐれヒットなモノが結構あった気がします。それこそコンセプトやアートデザインがパクりっぽかったり、おんなじ様なシステムのゲームがあるなかでなんだか運良く売れたものとか、思いつきません?

 つまり、今が厳しいけどある意味純粋な競争市場としては正しく機能し始めているんじゃないか、いよいよボーナスタイムが終了したのではという気がします。レビュアーごときが偉そうに、作って出して売れてから言えと言われればそれまでかもしれませんが。でも、これが10年アプリストアを見続けてきた現在の正直な感想です。

ブロスタ

価格:無料

カテゴリ:アクション

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IPがやっぱり強い。ただそれだけじゃない

 先程挙げたアプリは大ヒットに近いと言えるレベルのアプリで、結果的に新規IPのみになっていますが、それ以外に中ヒットクラスのゲームに多く有名IPタイトルが見られます。「‎アークザラッド R」「‎D×2 真・女神転生 リベレーション」や出たばかりでまだ判断に迷いますが「‎ロマンシング サガ リ・ユニバース」も滑り出しとしては順調な方ではないでしょうか。

 他にも「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」「‎アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~」「‎イドラ ファンタシースターサーガ」などなど懐かしのゲームから続編やスピンオフなど多数新規アプリとしてリリースされています。

 ココらへんがある程度売れるのはそりゃ有名IPだからだろ、と言ってしまえばそれでオシマイですが、個人的に今年のIP作品はどれも非常に好感が持てました。

 それが先程言ったシステムの作りやコンセプトの丁寧さです。少し前までIP作品というといわゆるキャラゲーと言われる中でもさらに揶揄されるような、単に人気作品やキャラでユーザーを釣ろうとするものも散見されましたが、これらの作品はいずれもまずゲームとしてちゃんと作られています。そこは色眼鏡なしに一度遊んで欲しいです。

 個人的なゲームアプリ全体の感想として今年は「大外れがなかった」と感じており、これは結構大きい意味を持っていると思っています。

イドラ ファンタシースターサーガ

価格:無料

カテゴリ:ロールプレイング

個人開発アプリ達は

 ちょっとここで話をずらして、個人開発のアプリに関しても言及しておきたいと思います。

 個人開発アプリに関して昨年あたりから感じた変化としては、リリース間隔が広がってきたということ。これは企業でも同じですが、やはりアプリの数が増え市場が成熟してきたことにより、新しいアプリが入る(売れる)隙が見えないということや、市場全体がクオリティアップしているため、開発に時間や手間がかかるといったことが挙げられます。

 以前より、リリースするにしても作り込むのは大変だし、売れる予感がしなくなってきたわけです。世知辛いですね。

 ただ個人開発アプリには単機能に特化した戦い方がまだまだできます。今年話題になったアプリでは「‎実時間小説 走れメロス」「‎五七五オンライン」などがありました。奇しくも両方白背景に文字のみという超極端なアプリですがコンセプトが尖りまくっていた為にかなり話題になりました。

 個人開発者はまだまだ色んな戦い方ができると思います。個人的に今から挑戦する人に言いたいのは、すでに売れている人は大変参考になりますが、その人たちの今だけを参考にすると、成功の上に成り立っているやり方を模倣することになってしまい、そうすると上述のように作り込みをするために時間や手間や技術、センス、プロモーションなどあらゆる要素が必要になってしまいます。

 ただなんにもなくても挑戦はできるのがアプリ開発のいいところです。今売れている方も、大体は昔は変なアプリを出しまくってましたし、その時はわからずやってたもんですよ。今とその当時では数年といえど状況は全く違いますし何より当人自体が別人です。以前の状況をなぞっても仕方ありません。ただ、その人達の成功体験を知ることは貴重な知識となりますし、今を勝ち抜くのに有利になるはず。過去を知り、その上で自分らしいやり方でアプリ業界を盛り上げて欲しいと思います。

結局アプリ業界は今年どうなったの?

 色んな方向に話が飛んでしまった気がしますが、では今年ゲームアプリ業界はどうなったのかを個人的に一言でまとめると、「なんかアプリが儲かるらしいからやってみよう」という時代は完全に終わりを告げた、という感じでしょうか。

 今やアプリは立派なビジネスです。なんだかわからんがお偉方の「アプリがブームらしい」で参入できる時代ではとっくになくなり、さらにちゃんとビジョンと力を持ったものしか勝てない世界になったという感じです。

 厳しく聞こえるかもしれませんが、むしろ今までの方がボーナスタイムで変なやつが紛れてたんですよ。それがやっと終わり、ちゃんとした人・会社しかいなくなった気がします。(まだ時々ヤバイやつ出てきますけど)

 これはユーザーにとっても良いことです。今年は超大ヒットこそ生まれにくかったですし、今後もそう簡単にはでないかもしれませんが、別にみんながみんな同じゲームを遊ぶ必要は無いんです。特に個が尊重される時代になり、パーソナルな時間の使い方も人それぞれになりました。自分の好きになれる良いゲームが増えることは間違いなく良いことです。

 アプリを作る側は序盤に戻ってしまいますが、やはり見方によっては厳しくなったということに変わりはないでしょう。でも今年起きた変化は、今後アプリが正当に評価されて、相応に売れるようになる準備段階だと思います。

 ブルーオーシャンではありませんが、エンタメ業界の一つとして非常にやりごたえのあるのが今のゲームアプリ業界だと思います。個人が企業と同等に戦えて、誰でも世界中に挑み収益を得ることができる。スマートフォンのアプリストアが出来た時から言われていることですが、来年以降改めてその本質に触れられる気がします。

 ミートアイ(と私イマ&ムラ)は常にアプリ開発者とユーザー双方の味方であり、それらを繋ぐ存在でありたいと願っています。なんとか来年も今よりもっとそうあれるように頑張りたいと思います。

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カテゴリ:ユーティリティ

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