今どき珍しいくらい渋い雰囲気で本格的な推理が楽しめるアドベンチャーゲームです。内容はしっかりとしていながら、プレイ時間は全体で見ても長くなく、1回のプレイを短く切って遊びやすくできている秀作です。
「和階堂真の事件簿 – 隠し神の森」は前作「和階堂真の事件簿 – 処刑人の楔」に続くシリーズ2作目で、警部・和階堂真がある集落で起きた殺人事件の謎を追う本格的なミステリーです。
ポイント&クリック形式のアドベンチャーゲームで、登場人物や証拠などをタップして情報を集めていくシンプルなシステムなのですが、それを円滑に進めるための作りが非常に良くできています。
まずは全体のデザイン・ビジュアル。背景はグレーに統一され人物や証拠や白く表示されているので、どこを調べればよいかひと目でわかるようになっています。
ドットは非常に精密かつ美しく描かれており、色味の少なさも渋いミステリーゲームにマッチしており、見た目がかっこいいの一言に尽きます。
そして、このゲームの肝となるのがメモ機能。重要な証言などに当たると自動でメモが追加されていきます。そして、そのメモをセットして話しかけることで新たな証言を得ることができます。
このメモをセットする際にその場の誰に対してセットして話しかければ物語が進むのかがわかるようになっており、闇雲にメモを使って話しかけずにスムーズにメモを活用して物語を進めることができるようになっています。
この表示は前作では無かったのですが、今回これが導入されたおかげで無駄な時間がなく誰でも詰まること無く進められます。非常にありがたい。
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そしてもう一つ、このゲームの秀逸な点が推理パート。
章ごとに必要な証拠を集めると推理パートに入ります。ここでは、その章で集めた証言/証拠を主人公が自問自答する形で振り返り事件を整理して、次に必要な行動・章へ進んでいくことになります。
このパートがあるおかげでプレイヤーは数ある証拠の中から何が重要なのか、次に何をするべきなのか、そして最終的に導く結論はどうすればよいのかを認識することができます。
ゲームとして一つの区切りになるので遊ぶ上でも休憩や中断もしやすく、内容としても刑事が推理していく過程としてもわかりやすく、推理ゲームとしてめちゃくちゃ優秀な構成です。
物語も、テンポよく進むだけでなく途中「あ!あのシーンはこういうことだったのか!」と驚かされるような構成になっていたりしてニヤリとさせられます。
上手いのが、そういったちょっと手の込んだ仕掛けはわからなくてもちゃんと推理ができてゲームが進められること。こういった作りのおかげで間口が広く誰でも楽しめるようになっています。
手軽に、だけどしっかり遊べるよくできた作品です。
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