遂にNTTドコモからも発売されたiPhoneですが、何やら雲行きがよろしくないようです。Sankei Bizによるとドコモの9月のMNP流出数が13万件で流入数を差し引いても純減で5万件と他社に完敗という様相です。
以前は「ドコモからiPhoneが出さえすれば…」と言われていた事もありましたが、現実ではそうはいきませんでした。では何故、同じiPhoneでもドコモは苦戦しているのでしょうか。
ミートアイでも発売直後に山手線を一周し速度調査を行いましたが、ドコモの電波は決してよいとはいえず、正直一人負けでした。これは他の調査でも概ね同じ結果のようです。
いままで「ドコモの電波はよい」というイメージがありましたが、そのイメージが構築されたのは遥かガラケー時代。スマホ時代に入りauもSoftBankも着々と電波整備を進め、都心においてはハッキリ言って差はありません。むしろ人の多さによりパケ詰まりが起きやすい状態にあります。
ドコモのiPhoneではキャリアメールである「~@docomo.ne.jp」が発売開始に間に合いませんでした。10/1より利用自体は出来るようになっていますが、まだプッシュ通知が出来ないという弱点を抱えたままです。
他社からの乗り換えにせよ機種変更にせよ、今までよりメールの使い勝手が落ちてしまうのではユーザーも躊躇してしまいます。
これについては推測を多分に含みますが、ショップが端末を売る際にコンテンツに加入してもらう事によりインセンティブ(報奨金)が発生します。しかしドコモのサービスである「dビデオ」や「dミュージック」などが未だiPhone向けに開始されておらず、販売店としてはそれらを勧められずインセンティブも手に入らないため、どうしてもiPhone推しが弱まっている可能性があります。
主に①②に関連しますが、ドコモからiPhoneが発売という事で多くの比較記事が見られましたが、ポジティブなものが多くありませんでした。これらはその注目度からすぐにネット上に溢れ、結果としてユーザー心理に「ドコモのiPhoneはあまりよくない…?」という負のスパイラルを生んだ可能性があります。
3社同じiPhoneを売る以上、何かしら大きな利点を打ち出せないと、このままジリ貧になる事も考えられます。10月以降の数字と、何かしら対策を打ち出すのか気になるところです。
ではドコモと比べ他社がどう上手く立ちまわったのか、その点も少し触れておきたいと思います。
auはiPhone 5時代にSoftBankと比較して電波が入りづらい・パケ詰まりが起こるといった、明確な敗因がありました。
今回auが強い電波800MHz帯に対応したiPhone 5s/cの発売という事で、TVCMや店頭告知などあらゆる方法で「今度は違う!繋がる!」を上手く押し出し、それが功を奏したといえそうです。
ただ、厳しい見方をすればこの方法は一度しか使えません。もしこれで繋がらないとなってしまうと信頼を取り戻すのはさらに難しくなります。実際に繋がるかというユーザー感覚は少し遅れてでてくる為、まだ少し見届ける必要がありそうです。
ある意味一番凄いのがSoftBankです。今までは孫社長みずから大々的にiPhone発売を告知してきましたが、今回は完全にだんまり。しかし蓋をあければMNPでauにこそ負けてもドコモには勝利、各店舗でもiPhone 5sは品切れが続いています。
早期に購入する層ではすでにSoftBankユーザーが多く機種変更が多かったようです。そしてそれこそがSoftBankの強さともとれます。これはSoftBankというキャリアがiPhoneユーザーから信頼を得ている事にほかなりません。
日本で初めてiPhoneを発売し、今まで多くのiPhone向け施策をどこよりも行ってきたSoftBankは何もしなくても負けない、そんな域に達しているのかもしれません。
しかしあぐらを掻いていてはすぐに逆転されるのがこの業界、むしろ下克上をしてきたSoftBankはそれを一番わかっているはず。今の動きのなさが不気味にもとれ、次が気になるところです。
ライター:イマ&ムラ
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