カメラに映った世界の色が少女の心を変えていくちょっと不思議なアドベンチャーゲーム「世界は心に満ちている。」レビュー

　アプリ内のカメラで撮影することで、そこに映った色が少女の失った心を少しずつ成長させ、物語や少女との会話が進んでいくというちょっと珍しいゲームです。

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　メインの画面では少女を会話をすることができますが、心を失った彼女とは最初はできる会話も少ない状態。

　そこで、カメラで実際のこの世界のを映して見せてあげることで世界の色を感じ、少女の心が成長していきます。

　映った色の積み重ねは心の花として「Flower」の項目で見ることができます。感情別に色が別れており、写真に映した色に応じてこの項目が増えていきます。

　シャッターボタンの上に、その時の色が表示されるので増やしたい感情の項目を探して写真を撮ることもできます。

　各感情が一定の数値を超えるとストーリーが解放されていきます。

　ストーリーでは主に少女が心を失う前やその時なにが起きたか、何をしてきたかなど彼女と世界の物語が少しずつ紐解かれていきます。

　サブストーリーとしてメインストーリーに登場し彼女に触れた人物からの物語や世界の物語などメインストーリー以外の物語も存在します。

　写真を撮るとその色に応じて心の花が成長し、ストーリーが読めると同時に少しずつ彼女に変化が起きてコミュニケーションが増える、というシンプルなゲームなのですが、物語も音楽も彼女の存在も全ての描き方が美しく、「心」というテーマもはっきりしており、何より物語が素晴らしい。

　個人的に面白いと思ったのが、アプリ内で取った写真はアプリ内で保存されるのではなく、普通にiPhoneのカメラロールに保存されるという点。

　これが後から見直すと、あたかも本当に少女にいろんな色を見せるために普段は撮らないような写真を撮ったようで（実際にそうだけど）、ゲームがプレイヤーの現実の世界に入り込んできているような感覚を覚えます。

　なんでも良いから進めるために写真をとればとにかく進めることはできますが、それだとちょっと勿体無いです。どうせなら一つ一つの写真を撮るのもストーリーを進める手段にせず、色や風景を意識して撮ってみるのをおすすめしたいです。

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