今まで数多くのRPGがスマホで出てきましたが、家庭用機でわたしたちが慣れ親しんできたRPGの感覚で遊べるものは殆どありませんでした。
タッチパネルでの操作やプレイする環境、求めるテンポなどが違うため、家庭用ソフトをそのまま持って来た移植作ですら実際にやってみると「なんか違う」感じてしまうことが殆ど。
「アナザーエデン」はそこを完全に埋めてくれました。スマホの操作や環境に完全に適した状態で、プレイヤーの感覚は昔ながらの良RPGを遊んでいるという、意外とできそうで今の今までなかったゲームです。
ゲームとしては本当にオーソドックス。基本横スクロールの移動に縦の階層が加わったような形で、街と外はシームレスになっています。
このフィールド移動も非常にシンプルなのですが、快適さを演出してくれているのが、画面右上のマップ。単に地図が表示されているだけでなく、目的地やマップの変更ポイント、施設などを見やすくわかりやすく表示してくれています。
また、移動も360度自由でなくあくまで基本横移動で縦は決まった場所で階層を移動するだけなのも、フィールドを無駄に動いてしまうことがなくスムーズに移動できるようになっています。
いずれも非常に細かい点ですが、これが快適さを実現しています。
戦闘もこれまたオーソドックスなターン制コマンド式。
ただしここにも細かな特徴が光ります。基本的な戦うコマンドの場合、画面右下にある「攻撃」ボタンだけでOK。敵味方全員が各キャラクターの素早さに応じた順番で攻撃します。
各キャラの魔法やスキルなどを使いたい場合はキャラクターアイコンをタップして選択、他のキャラも必要に応じて変更して、最後は「攻撃」で完了。
このシステムも非常に良くできていて、基本の攻撃をしたいならプレイヤーは1ターンに攻撃ボタンを一回押すだけ。スキルなども各キャラ毎に選ぶだけなので、最小限のタップ数で行動の決定までができます。
また一度攻撃をすると全員のコマンドが通常攻撃に戻るようになっているのも快適です。
ゲームによってはコマンドは選択した状態に固定してくれた方がスムーズな場合もありますが、このゲームでは常にスキルを連発するようなバランスになっておらず、あくまで通常攻撃の間にスキルを挟むのが基本なのでこの方が進めやすいです。
ストーリーも王道で、敵にさらわれた妹を取り戻そうとするところ時空の間に巻き込まれ、時間を超えた冒険に出るというもの。
これも正直使い古された流れといえばそうなのですが、各キャラクターの設定やこまかなセリフ・テキストに嫌味がなく、すんなりと話を楽しむことができます。
王道だからこそ先が気になるストーリーが展開し、進むテンポもよく、かと言って各イベントが長すぎることもないのでスマホでの短い時間でもちゃんとプレイできます。
本作はシナリオにクロノトリガーの加藤正人氏、音楽に光田康典さんが担当しており、そのテイストや豪華さをフルに感じることができます。
最近は誰が作った・どんなスタッフだというのはスマホのゲームにおいてあまり売りの力としては強くなくなってしまいましたが、このゲームにおいてはその名に恥じない素晴らしいできです。
全体を見ると普通に感じるかもしれないゲームですが、よく見ると「いままで家庭用で遊んでいた感覚をスマホで再現する」ために細部に渡り見事な最適化が行われているのがわかります。
RPG好きにとってやっとこれが出てくれた、そう思えるゲームです。
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