2016年7月16日、ソフトバンクがイギリスに本社を置く企業ARMを買収すると発表しました。その額3兆3,000億円。
ARMという会社は一般的にはあまり知られてはいないかもしれませんが、私達が使うiPhoneを始めスマートフォンの主要部品では圧倒的な地位を確立している会社です。
ARMはスマートフォンなどの頭脳にあたるCPU(プロセッサ)を設計する会社です。CPUというとインテルが有名ですが、大きな違いはARMは製造はしていない、ということ。
逆にじゃあ何をしているのかというと、設計書を作りその権利をチップ製造会社に販売しているということです。
そのシェアはスマートフォン業界に於いては圧倒的でiPhoneに搭載されているAppleのAxプロセッサもARMアーキテクチャのライセンスを購入し、それを元に作られています。
Androidでも殆どが採用しているQualcomm社のSnapdragonも同じくARMアーキテクチャを元に作られています。つまりOSや製造メーカーの垣根を超えて、その殆どのCPU基礎を現状担っているのがARMということになります。
ARMはモバイルCPUのアーキテクチャを寡占しているので、言い方を変えれば世の中のほとんどのスマートフォンはソフトバンク関連会社の技術を使っていると言える状態になります。
日本であればキャリアがドコモであろうがauであろうが、メーカーがAppleであろうがSonyであろうがSamsungであろうがある意味全部ソフトバンクの手が入っていると言えるようになる、というかなりのインパクトです。
さらにARMアーキテクチャはウェアラブルデバイスを始めとしていIoT(Internet Of Things)分野でもかなりのシェアを持っています。
またCPU全体を見れば最大企業といえるインテルがありますが、モバイル向けのチップセットから撤退を表明しており、現状、競合といえる企業は世界的に見てもほぼ存在せず、ARMの地位はかなり安定しているというのも特徴です。
つまり今ほとんどのスマートフォンの基幹技術をもっており、今後もIoTで期待できる、とIT業界において最も見通しの明るい企業の一つであると言えるかもしれません。
孫正義氏も発表会見において、ARMについては経営にテコ入れは行わない(する必要が無い)と述べており、今後親会社となるソフトバンクとどこまで相乗効果が生まれるかはまだわかりませんが、単体で見ても期待できる企業だけにソフトバンクとしてかなりいい買収といえそうです。
参考:ARM買収の提案に関する発表情報 | 企業・IR | ソフトバンクグループ
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