皆様あけましておめでとうございます。
っつっても、この原稿を書いてるのはまだ2014年なんですけどね!!というわけで(?)今あらためて2014年を振り返り、ゲームアプリにおいてどれが素晴らしかったか、まったり語りたいと思います。
よくある”このアプリの売上がいくらで~”とか関係なし、そういうのは苦手なのでただ一人のゲームユーザーとして完全に主観丸出しでお送りします。
まぁこたつでみかんでもかじりながらTV見る片手間にダラダラお読みください。
というわけで「テラバトル」でございます。このゲームはファイナルファンタジーシリーズを創りだしたクリエイター坂口博信氏と、共にFFの音楽を担当された植松伸夫氏によるパズルRPGです。
フィールドに現れた自軍のユニットで敵を挟んで攻撃するというルールで、キャラクターの育成などの要素があります。
パッと聞くとよくあるパズルRPGじゃん、と思うかもしれませんが、これは完全に似て非なるものなのです。
では一体テラバトルは何が違うのかということです。
例えば今「iPhone向けにパズルRPGを作ってよ」と言われたらどうしますか?恐らくパズドラを始めとしたゲームのシステムを参考にするのではないでしょうか。
テラバトルも一見よくあるiPhone向けパズルRPGの作りと同じに見えます。しかしこのゲームは分解してみると全く違うゲームなのです。
例えばキャラクターの育成。ずばり経験値です、昔ながらの、バトルによる。
もちろんガチャもあるので、キャラが被った時に合成してレベルが上がる、というのもありますが、これはまんま同じキャラが被った時のみ、しかも自動で行われます。基本的には仲間が増えていき、その中から好きなキャラを選んでバトルで成長、それだけです。
よくある要らないキャラクターを犠牲にしてメインキャラに合成!そしてレベルアップ!という仕組みが無いんですね。
戦闘するのにスタミナが必要ですが、これの成長の仕方も違います。
こちらもよくあるパターンではプレイヤーランクがあり、それを上げればスタミナ上限も増加。ランクは繰り返しのプレイによる経験値で上昇といった感じ。
テラバトルではスタミナはストーリーを進めないと成長しません。ランク自体が存在せず、ストーリーの進み具合が同じならどのユーザーもすべからく同じスタミナになります。
またストーリーについては内容もその仕組も秀逸です。
ストーリーはステージ前後にテキストが入るだけなのですが、これが凄い。めちゃくちゃ引き込まれるんです。
最近のスマホや通信インフラならムービーやアニメーションなど豪華な演出を入れることも可能ですが、そういったことはしていません。
スマートフォンというデバイスにおいて時間を取らせず気軽に、しかしユーザーにしっかりと訴求する。何が大切なのか把握した上での取捨選択と必要な要素を最大化しているのです。
これらのシステムはガワこそスマホ向けパズルRPGと同様に見えますが、基本は昔ながらのJRPGなんですね。他と同じパズル系RPGとみなされますが完全に出自が違うのです。
JRPGそのままだとスマホでプレイし辛い、最適化したらこうなったというものです。
そうですね、じゃあこれの何が凄いのよ。ということです。
別に他のパズルRPGと比べてどちらがどう優れている・劣っているという話ではありません。
これは新たな可能性なのです。
ここ2~3年、スマホでゲームを作る、となるとどうしても同じ系統のものから脱却できていない感がありました。なぜなら作り始める時点で”こういうのが他で受けてるパターンでしょ”前提で作っているからです。
そこに現れたテラバトルは、同じ様で違うものでした。結果として近い形式になっているとしても、一つ一つ理由があり、ただ既存のスマホゲーム文法に則ったものではなくちゃんと意味があるのです。
もちろんコンシューマ出身のゲーム会社は今までもこの領域に挑戦し続けていました。しかし、スマホ上ではスマホゲームの文法のゲームになかなか勝てていなかったのも事実です。
つまりテラバトルでは今まで誰もやらなかった領域、やりたくても出来なかった事を実現したアプリと言えると思います。
ここにファイナルファンタジーを始めコンシューマ機でゲームを第一線で作り続けてきた製作者たちのこだわりというか生き様のようなものを感じざるを得ません。
11月に行われたファイナルファンタジーのアプリ新作発表会にて、スクエニの協力制作会社の方が「ファイナルファンタジーに定義は無い、しかしファイナルファンタジーだと感じて貰えるものを作る」と言っておられましたが、私は奇しくもこのテラバトルからその”ファイナルファンタジーらしさ”を感じました。
そりゃ作ってる人が同じなんだからそうもなるだろ、といえばそうなのですが、ファイナルファンタジーとして作られたわけではないこのゲームからそれを感じたことに、こんなにもゲームにクリエイターの色というのはでるものなのかと驚きを隠せませんでした。
コマンド選択型でもなければフィールド移動もありません、しかし私と同様このゲームからFFイズムといも言うべき何かを感じ取れる方は多いと思います。
おそらく今年は、もっとアプリゲームにももっと製作者や制作会社の”らしさ”が目に見えて出てくると思います。それこそが日々生まれる有象無象のゲームから脱却するキーだとも思います。
そういった意味でもテラバトルは今までiPhoneでのパズルRPGを避けてきたコンシューマーゲームユーザーにも、スマホゲームにマンネリを感じてきたユーザーにも是非楽しんでいただきたい一本です。
2014年ゲームアプリは様々な進化を遂げました。と、同時に飽和も始まっています。こういった実は革新的でありながら堅実なゲームをしっかりピックアップしていきたいと思います。
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