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スマホメディアから見た「東京ゲームショウ 2019」レポート。明確にアプリの取り扱いに差が出た国内メーカー、躍進を続ける海外メーカー

2019/09/12 21:25

スマホメディアから見た「東京ゲームショウ 2019」レポート。明確にアプリの取り扱いに差が出た国内メーカー、躍進を続ける海外メーカー

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 2018年9月13日(木)本日より東京ゲームショウ 2019が開幕しました。スマホメディアであるミートアイならではの視点で現地レポートをお送りします。

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 というわけで、今年もスマホアプリゲームが東京ゲームショウという日本最大のゲーム展示会、ひいてはゲーム業界でどのように動いているかを見ていきたいと思います。

 タイトルそのままですが、まずは国内メーカー。ここについては明確にスマホアプリの取り扱いに差が出ていました。印象として大きいのはスマホアプリを出していながらも、ゲームショウでは全く取り扱わないメーカーが増えてきたということ。

 昨年まで見てきて、そうなるだろうという意識はありましたが、カプコンについてはアプリのブース出展は無し、セガも「ソニック AT 東京2020オリンピック」のみと縮小が激しいというのが現状です。

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 他にもスクウェア・エニックスもすでに発表済み且つコンソールとマルチの「聖剣伝説3」「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」が端に設置してあるくらい。

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 これらのメーカーはコンソールタイトルで巨大なものを抱えているため、今までも決してスマホの取り扱いが大きかったわけではありませんが、今年はそれにも増して縮小しています。

 スマホメディア的には残念ではありますが、これについては各メーカーが持っているコンソールタイトルの動きや人気、東京ゲームショウという場での必要性など考えれば仕方がない、むしろ当然というところでもあります。

 そんな中で大手メーカーでもスマホに力を入れているところもありました。それがKONAMI。もう足掛け3年になりますが「ラブプラス EVERY」がタイトル別のステージでは最初に大々的に行われリリース予定が発表、イベントブースも設置。もちろん人も多く集まり人気が出ていることが見て取れました。

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 他にも「悪魔城ドラキュラ Grimoire of Souls」のプレイアブル出展など、スマホゲームにもしっかりと力をいれていました。別のメーカーではTAITOがリリース予定の「ラクガキ キングダム」の出展するなどスマホゲームとしては国内メーカーでは期待のタイトルが見られました。

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 対象的に、ここ1,2年そうでしたが変わらず伸長を続けているのが海外メーカー、主に中国系ですが、ここが大掛かりなアプリゲームの出展のほとんどを担っている状態です。

 個人的にも以前はあまり大陸系のゲームは好きではないことが多かったのですが、それも今は昔。アズールレーンや昨年出展したドールズフロントラインなど、明らかに国内でも人気がでて、それが納得の良タイトルが増えてきています。

 その中でも今年、最注目なのがmiHoYoの「原神」でしょう。miHoYoもすでに「崩壊学園」「崩壊3rd」で国内で人気を得ているメーカーの一つ。このタイトルもすでに本国ではリリース済みで、「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」に似ているということで若干マイナスな話題もでていたタイトルですが、ゲームショウ会場のスマホゲームとしては他メーカーやタイトルより圧倒的に注目度が高く、プレイにも待ち行列ができていました。

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 正直、私もゼルダに似ているという点では初めて見た時からそう思っています。しかし、ゲームの見た目やデザインに特許や権利は無く、悪く言ってしまえばやったもん勝ち、やっても心象以外の部分で問題はありません。そして、実際にプレイアブル出展をすれば行列ができ、プレイして技術力の高さや内容に納得ができてしまう、面白いと感じるのも事実。心象は大事だと思いますが、それだけに囚われず、そこを上回る何か(クオリティなり)で突っ切ってしまうのも一つの力ではないかと思わされてしまいます。

 国内メーカー同士で似たようなゲームを出し合うことを推奨するつもりはありませんし、そうすべきでないと思いますが、海外メーカーであることを自ら理解しこういう動きができてしまうのも(内容としても技術としても)強みの一つであるということを感じます。そして予想ではありますが、国内でもリリースされればおそらく人気はでるでしょう。

 他にもスマホゲームを探す、という視点でゲームショウを回ると大きなブースではほぼ間違いなく海外メーカーに当たります。オリジナルタイトルの日本向けリリースはもちろん、老舗シリーズであるイースのモバイルタイトルとなる「イースⅧ:Mobile(仮)」も中国メーカーからのリリースとなりますし、こちらの出来も非常によかったです。

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では、日本のスマホゲームアプリは海外メーカーに持っていかれるのか?

 国内大手はスマホアプリの出展は少なく、見渡せば中国系メーカーばかり。じゃあスマホゲーム自体がそういったメーカーのものばかりになるかというと、そうではないと思います。

 出展こそ多く、上述の良作も見当たりますが、まだまだ国内向けには厳しいかなと思うものも多数あります。このあたりについて、昨年までに国内メーカーのスマホアプリへの選別は終わったけど、単純に海外メーカーゆえの時差だと思います。結局売れなければ撤退せざるを得ないので、各国の経済状況などにもよりますが来年以降海外メーカーもそれぞれに撤退や調整をしていくと思われます。

 ざっと総括すると昨年までに一通りスマホバブルは終わり、今年はゼロベースに近い状況で改めてスマホアプリはTGSへの展開をする必要があり取捨選択がおこなわれているため大人し目。その中で海外メーカーについてはまだバブルの名残があり、いままさに日本への進出を行っている、というイメージとなります。

 ただ、現在のゲーム業界全体の景気などを考えるとTGSでの国内メーカーのアプリ展開は少なくとも向こう1,2年大きく跳ねることはなさそうだという気もします。

 しかし、それもあくまでTGS展開のお話。まぁ全体的に停滞気味であるのも確かですが、最初に出したセガなりカプコンなりも実際にアプリゲーム自体は多数リリースしています。スマホでアプリゲーム自体は出ますが手探りの状態。ただTGSという場でお目見えというのは今の所減らさざるを得ない、といったところでしょう。

 じゃあ今後どうなるの?ということですが、これについては、それこそアプリゲームの開発状況による、ということになります。

 今、TGS出展という視点だけでなく、スマホゲーム業界自体がゲームを作ることの見直しの時期に入っていると感じます。今までは正直一つ売れたタイトルがでれば、それと同じようなシステムでガワを変えてちょっと手直しをすれば売れる可能性がありました。実際にスマホゲームというと、ジャンルで分けた際に、同じジャンルのゲームは内容もほぼ同じという状態です。

 スマホゲーム業界はこれ自体を見直さなければなりません。

 もし今後TGSで大きく注目を集めるスマホゲームが出るとすれば、それこそ何もかもが新しいスマホならではのゲームが登場する瞬間になるかもしれません。また最初に国内大手ゲームメーカーは主にコンソールタイトルが主戦力だから仕方ないと言いましたが、本当はスマホゲームで再度奮起してくれる、そうなること期待しています。

もう一つの道。インディーゲーム

 と、なにやら振り返ってみればだいぶ不景気な記事になってしまっておりますが、ちょっと様相の違う場所もありました。それがインディーゲームコーナー。

 毎年インディーゲームコーナーはありましたし、業界人はここに注目する人も少なくありませんでしたが、個人的に今年はかなりおすすめです。

 あくまで個人の心象なのですが、インディーゲームコーナーはその性質からどうしても当たり外れがあり、ちょっとおすすめし辛い場合があると感じていました。しかし今年は本当におすすめ!全体のクオリティが高く、どのゲームも楽しめます。  最近はSteam用のPCゲームとNintendo Switch向けに押されつつありますが、アプリゲームも多数。その中で面白かったもののを手短に紹介。

 とにかく全体のクオリティが高かったのが「DIORAMA KNIGHT」。ボクセルで描かれがうグラフィックの質が高く親しみやすさがあり、ゲームしすてむとしては「リバーシ」がベース。

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 階層になったフィールドの一番上で騎士が駒になったリバーシをして、手持ち駒となった騎士がターンが進むにつれ下層に攻め込んでいくというもの。

 若干複雑なシステムだが、基本的にはリバーシを勝てればまずは勝てるようになっている、その中で進むにつれて下層に進む際の先読みや対処が必要になってきて、そこにただのリバーシにプラスアルファの思考の楽しみがあるという作品。最終的に覚えることは多めだが、ちゃんとそれぞれの要素がリンクしていてやればやるほど楽しめるようになっている。

 スマホらしいシンプルなミニゲームとしてよかったのが「薔薇と椿」。数年前にFLASHゲームとして人気だったものがアプリ化。

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 富豪の嫁となったが、即未亡人となってしまった主人公が奮起して義理の姉妹や姑とビンタしまくるという、まぁいわゆるバカゲー。

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 富豪の家が舞台のでとにかくひたすら「おビンタ」「おスワイプ」などといった口調になっているのが細かい。そんな言い方するやつおらんやろ。

 いわゆるタイミングアクションで、条件を満たすと往復ビンタできるなど細かい仕様もあり。ゲームシステムも、テキストも誰でも楽しめる作品。

 チラシのみの出展だったが、「‎くまのレストラン」のDaigo Studioは新作を3本も用意。一つはSteam用でホラーゲームとなる「ZELLE」、スマホ向けには「スノーマン・ストーリー」が年末にリリース予定とのこと。「スノーマン・ストーリー」は「くまのレストラン」のようなグラフィックとテキストで楽しめるアドベンチャー系になるようだが、もっと絵本のような仕上がりとのこと。

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 そしてもう一つはタイトルも不明(写真の一番右)。一枚絵のみだが、冒険を予感させるようなイラストでとにかく大作の雰囲気を醸し出している。

 インディーゲームならではと思ったのが「觸手を売る店」。いわゆる放置育成系ゲームだが、とにかく不気味。

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 店先の泉で「触手」を育てて回収、店に持ち帰りアイテムをゲット、触手を育てる環境をさらに整えていくという、何言ってるんだかよくわからないがそういうゲーム。多分わからない人は永遠にわからない。

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 ただ、不気味さゆえに独特の魅力を孕んだゲームであるのも確か。育成と並行してストーリーも展開するのだが、これがまたホラー系テキストとして秀逸。好きな人は世界観にどっぷりとハマるゲーム。ある意味インディーゲームならでは。

 他にもこのゲーム自体はスマホではないが、もともとスマホで人気となった「ALTER EGO」のSwitch版も展示。Switch版ではテキストアドベンチャーとなり、探索と会話を繰り返すことで新たな話題や会話が生まれ物語が進んでいく。

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 会話システムがリアルで、ヒロインである「エス」が話している間は自動でテキストが進み続け、その合間に自然とこちらの返答が現れる、ただその間も「エス」は喋りつづけるので、どこで返答を差し込むかはプレイヤー次第となっている。

 また、待っていると返答が増えたり、逆にこちらから声を発せず会話が終わってしまったりと、本当に人と会話をする時の思考と同じようにゲームの会話を楽しめる。

 さらに番外編だが、Steamのゲームも遊ばせていただいた。こちらは熱中しすぎてゲーム中の画面を撮影し忘れた「Nebulas Lasso」

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 最大4人で楽しめる全方位シューティング。敵を倒すことではなく、画面内に現れる人間を捕獲することが目的。ただし完全に確保するまでには、一定時間自陣に保持しなくてはならず、その間他プレイヤーの妨害に耐えられるか、どうやって隙間を縫うかなど一進一退の攻防が繰り広げられる。1ゲームに時間はかかる場合があるがかなり盛り上がる、スマブラのガチ対戦部分であはなくパーティゲーム的な要素を多く持ったゲーム。実際にプレイヤーが集まって遊ぶと吉。

 と、他にもまだまだ紹介しきれないほどインディーゲームは楽しめました。

 本当にどのゲームもクオリティが高く、インディーゆえの癖もあり、気軽に誰でも楽しめるゲームはまさにここにあった、という感じでした。

 昨年までインディーゲームコーナーは別棟で、他も物販しか無いような状況だったので、あまりゲームの開発にまで詳しくないユーザーはちょっと踏み入れづらかったかもしれないが、今年は全体の出展量やジャンルが増えたせいか別棟にもeSportコーナーができるなどにぎやかになっており、足を踏み入れやすくなっています。むしろ一般日は混雑が予想されるかもしれませんが、まだそこまで世に知られていないゲームを自分で発掘する楽しみも味わえるインディーコーナーを是非オススメしたいと思います。

 というわけで、東京ゲームショウ 2019初日を振り返ってみました。

 アプリという視点でみるとまだまだ今後何が起こるかわからないのがゲームショウという感じがします。ゲーム業界自体の歩みがあり、そこに新たに加わったスマホゲームという潮流がどうなっていくのか、まだまだ楽しめそうです。

 それではまた来年。

ライター名

この記事を書いた人

イマ&ムラ

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